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好きなスポーツを仕事にしたはずが・・・

好きなスポーツを仕事にしたい。そう思ってスポーツクラブに入社した。21歳の時だった。元々ジムのトレーナーに憧れていた。しかし配属されたのはプールの指導員。「たしかに好きなスポーツは仕事にできている。だけど自分はプールのインストラクターになりたかったのか?」やりがいのある仕事ではあるが、本当に自分がやりたいことではなかった。

 

次に配属されたのはスタジオのインストラクター。音楽に合わせながらグループエクササイズを指導する。外から見れば華のある仕事。それでも自分のやりたいことではない。もちろん仕事なので好きなことだけではないのはわかっている。だけど楽しさよりもモヤモヤを感じるようになっていた。

好きだけではやっていけない?

20代半ばになると、少しずつ不満も感じるようになってきた。一般企業に勤める同級生と比べて給料が安い。休みも無い。閉店後にはプールで泳ぎの練習をしたり、スタジオレッスンのコリオ(振り付け)を覚える。深夜3時頃になる時もあり、月に何度かはジムに泊まっていた。

 

「この仕事をしていたら結婚は難しいよ」と先輩から言われたこともある。気がつくと自分の生活の9割以上の時間を仕事に費やしていた。現実をみると“好き”だけではやっていけないのではないか・・・。

同僚がどんどん辞めていく・・・

20代後半になると同僚がどんどん辞めていく。保険会社、不動産、金融・・・スポーツとは関係ない業種への転職だ。給料や待遇の良い会社に惹かれる気持ちもわかる。当時のマネージャーや店長の給料を聞くと「夢がない」「自分もその道を辿るのか」というのが正直な気持ちだったからだ。自分も転職した方がいいのだろうか。そんなことを考えるようになる。

マンションの一室で独立?

一方で、トレーナーとして独立している人もいる。マンションの一室を借りてマイクロジムを立ち上げたり、フリーランスのトレーナーとして活動している。雇われ時代と比べてすごく楽しそうに過ごしている。好きな仕事を続けていく上で、独立も1つの選択肢としては有りだろう。だけど独立している人は本当にうまくいっているのだろうか。安定を捨ててまで独立する意味はあるのだろうか。セッションしか収入がない体力勝負の働き方で、この先何十年と続けていけるのだろうか・・・

​私の経験談

実はこれらは私がフィットネス業界で働く中で感じてきたこと。好きなことを仕事にしたはいいが、思うような働き方ができていない。同じ釜の飯を食ってきた仲間はみんな辞めた。将来に不安を感じながら、転職、独立、起業・・・いろんなことを考えた20代だった。

私は24歳でフリーランスのパーソナルトレーナーになり、27歳で今の師のもとでビジネスを習い始めた。トレーニングと同様に、ビジネスも自己流では成果が出ないことを、その時に実感した。

27歳で起業準備をはじめ、28歳でフィットネススタジオを開業した私だが、今思えば27歳でスタートしたのはベストなタイミングだったと思う。まわりからは「まだはやい」「もっと経験を積んでからの方が良い」と散々言われたが、20代だからこそできることがある。

​1つは変なクセがついていないこと。キャリアがないのでプライドもない。トレーナーとしては5年目を過ぎてプライドが芽生え始めていたが、ビジネスに関しては初心者なので失うものはなかった。多くの人が独立をしようとすると独りよがりになりやすい。他人の意見を聞かずに自己流を貫いてしまいがちだ。もちろん自分で好き勝手できるのも独立のメリットだが、私が事業を軌道に乗せることができたのは、師の教えを忠実に再現したからだと思っている。

そして金銭面。スポーツクラブ時代は安月給だったが、独身のため自由に使えるお金があった。起業家には「投資と回収」という考え方があるが、家庭を持っていると事業に投資できるお金が限られてくる。先行投資をする決断ができたのも、20代だからこそなのかもしれない。

もしも当時の私と同じように、20代で将来に不安を感じているトレーナーがいたら、私の体験談をもとに、ご自身の働き方と向き合ってほしい。人を健康にし、人に喜んでもらえる素晴らしい職業だからこそ、あなた自身がたのしく、長く続けられる環境を作ってほしい。

入社5年目、27歳。

いろいろと将来を考える年齢だと思う。もしも今の働き方を変えてみたいと思ったら、少しだけ勇気を出して、一歩前に踏み出してほしい。

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